相続の手続きは自分でできるの?
もちろん、可能です。
もっとも、初回の相談は無料とする専門家も多いため、一度相談した上で、ご自身で手続きをするどうかを判断されることをお勧めします。
但し、以下のような場合には専門家への依頼を検討しましょう。
- 相続人の中に、遺産分割に協力的でない人がいる場合
- 相続人の中に、行方不明者・未成年者・判断能力が十分でない方がいる場合
- 相続人を特定することが困難な場合
- 相続財産が明らかに3600万円を超える場合
- 相続財産に不動産が含まれる場合
相続人の中に、遺産分割に協力的でない人がいる場合
遺言書がない場合、遺産分割協議によって遺産の分割方法を定める必要があります(法定相続分の割合で分割する場合は除きます)。
相続人の中に遺産分割に協力的でない人がいる場合、遺産分割協議はいつまでたっても成立せず、その結果、名義変更や相続税の申告など、相続に必要な手続きができないという事態が生じます。
この場合、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをします。
相続人の中に、行方不明者・未成年者・判断能力が十分でない方がいる場合
相続人の中に、行方不明者・未成年者・判断能力が十分でない方がいる場合、
遺産分割協議をするには、一定の手続きが必要となる可能性があります。
相続人を特定することが困難な場合
遺産分割協議は、法定相続人の全員によってなされる必要があります。
そのため、協議が終わった後に、子や養子などがいることが発覚した場合、遺産分割協議は無効となります。
そのような事態にならないため、故人の出生から死亡までの戸籍謄本等を取得し、さらにそこに記載される子又は孫の戸籍抄本を取得します。
こうして最終の法定相続人まで戸籍上の記録を辿る必要があります。
また、このようにして取得した戸籍謄抄本の束は、自動車の名義変更、預金の引き落とし、預金口座の解約をする際に提出を求められる場合があります。
相続財産が明らかに3600万円を超える場合
相続財産の総額が3600万円を超える場合、相続税の申告が必要となる可能性があります。
また、土地や建物、有価証券などを相続した場合、税法上の評価額が思いもよらず高額となり、相続税の申告が必要となる場合があるので注意が必要です。
相続税の申告は、故人の死後10ヶ月以内になされる必要があり、相続税の申告が必要であるのにもかかわらずこれをしなかった場合には、 本来受けられるはずだった税額控除の制度を利用できなかったり、追徴課税が課されることになります。
相続税は高額になる場合があるので、慎重な判断が必要となります。
相続財産に不動産が含まれる場合
相続財産に不動産が含まれる場合、その全てを適切に名義変更するためには、固定資産税納税通知書や名寄帳などの資料から、故人名義の不動産を特定し、評価額を算出した上で、法務局に登記申請をする必要があります。
このほか、農地や未登記建物などがあれば、別途、行政への届出等が必要になります。