相続の手続きって何をすればいいの?
相続の手続きの全体の流れを知っておくことは、
期限内に必要な手続きを進めるにあたって、とても重要です。
必要な手続の中には、届出をするだけの簡単な手続きがある一方、
専門的な知識を必要とするものもあり、その場合、専門家との連携が重要となります。
なお、専門家と連携して手続きをする場合、不動産や預貯金は司法書士、税関係は税理士、といったように適切な専門家を選ぶ必要がありますが、 遺産承継業務を行なっている専門家であれば一括して依頼することもできます。
- 家庭裁判所で遺言書の「検認」手続きをします
- 相続財産を調査します
- 相続放棄・限定承認の判断をします 期限あり
- 故人の確定申告をします(準確定申告) 期限あり
- 相続人を調査します
- 遺産分割協議をします
- 相続財産の名義を変更します
- 相続税の申告をします 期限あり
- そのほかの手続きをします 期限あり
1. 家庭裁判所で遺言書の「検認」手続きをします
遺言書を見つけても、封を開けてはいけません。
遺言書は、封がされたままで家庭裁判所に提出し、「検認」の手続きを受ける必要があります。
「検認」の手続きを受けないまま開封した場合には、5万円以下の過料に処されるおそれがあるので注意が必要です。
2. 相続財産を調査します
故人の預貯金・有価証券・不動産・借金(住宅ローンなど)などの財産を調査します。
不動産については、固定資産税納税通知書や名寄帳などを取得して、特定のための調査をします。
3. 相続放棄・限定承認の判断をします
プラスの財産よりマイナスの財産(借金など)が多いことなどから遺産を相続したくない場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることができます。
相続放棄は原則として相続開始後3ヶ月以内になされる必要があり、一度なされた相続放棄は撤回できないため、慎重な判断が必要となります。
相続放棄した後にプラスの財産が多く見つかったり、逆に、3ヶ月過ぎて多額の借金が発覚することもあるため、
慎重な財産調査が重要です。
また、故人の妻(または夫)に全財産を相続させるつもりで、その子ら全員が相続放棄した結果、故人の兄弟姉妹が相続権を取得することとなり、思わぬトラブルが生じるケースもあるため、事前にしっかりと調査するか、専門家への相談を検討しましょう。
4. 故人の確定申告をします(準確定申告)
故人が生前に収入を得ていると、一定の場合、確定申告(準確定申告)が必要となります。
この申告は、死亡から4ヶ月以内になされる必要があり、これを過ぎると加算税・遅延税といった追徴税が課されるおそれがあります。
5. 相続人を調査します
相続人となる人を特定するための調査します。
故人が出生から死亡までに本籍地をおいた全ての市町村に問い合わせて、すべての戸籍謄本等を取得します。
次に、取得した戸籍謄本等の記載から相続人を特定し、さらにその相続人の戸籍抄本を取得します。
ここで取得した戸籍に関する書類は、さまざまな手続きで必要となります。
6. 遺産分割協議をします
相続財産をどのように相続人間で分けるかを決めるため、遺産分割協議を行います。
これによって作成された遺産分割協議書は、預貯金口座の解約や、自動車・不動産の名義変更などの手続きで必要となります。
なお、債務(借金等)は遺産分割の対象外で、法定相続人に対し、法定相続分の割合で相続されるので注意が必要です。
7. 相続財産の名義を変更します
遺産分割協議の内容に従って、自動車や不動産の名義を変更します。
自動車の名義変更は義務ではありませんが、名義変更をしないでおいた場合、放置などにより問題が生じた際に相続人全員が責任を負ったり、また、廃車・売却が困難になったりするおそれがあります。
不動産については法改正により、2024(令和6)年4月1日から3年以内の名義変更(相続登記)が義務化されます。
法改正前の相続についても適用されるので、忘れずに名義変更しましょう
8. 相続税の申告をします
故人が亡くなってから10ヶ月以内に相続税の申告をする必要があります。
相続財産の総額が 3000万円+(法定相続人の数×600万円) より低い場合は申告の対象となりませんが、
現金や預貯金以外の財産がある場合は、別途、税法上の評価方法による計算が必要となるので専門家に相談しましょう。
なお、申告期限の10ヶ月を経過してしまった場合、期間内であれば受けられた優遇(控除など)を受けられなくなったり、重い追徴課税を課されたりするおそれがあるので注意が必要です。
9. そのほかの手続きをします
年金受給停止(厚生年金の場合死亡後10日以内、国民年金は死亡後14日以内)、社会保険の資格喪失届(死亡後14日以内)など、そのほか必要な手続きを行います。
なお、故人が亡くなった後も引き続きこれを申告しないで年金受給など、本来故人が得るべき利益を得た場合、詐欺罪に問われるおそれがあるので注意が必要です。